川の土手を口笛を吹きながら
買ったばかりの自転車で走っていたら、
突然セーラー服の少女にドロップキックをくらい、川に突き落とされた。
自転車ごと回転する僕。
激しく水しぶきがあがる。
僕は何が起こったのかわからず水に濡れたまま、呆然としていた。
少女は倒れている僕を無視して少し離れたところに落ちた自転車を引き起こし、
「ぎぶみーちょこれーと!」
「ぎぶみーちょこれーと!」
と叫びながら僕の自転車にまたがると全力で走り去ったのだった。
今思えば、それが僕の初恋だった。
(久智苗 麗 著「今夜もバンアレンタインデー!」序章より抜粋。